世界遺産・大浦天主堂を巡ろう～隠れキリシタンと長崎の歴史を探る

大浦天主堂とは？

　長崎にある大浦天主堂は、日本国内でも有名なカトリック教会の一つです。正式名称は「長崎外国人居留地教会」であり、一般的には「大浦天主堂」として知られています。１８６４年にフランスの宣教師であるベルナール・テュデスク（Bernard Thadee Petitjean）によって建てられました。

　当時、日本ではキリスト教（カトリック）の信仰が厳しく制限されていました。厳しい弾圧のなか、日本に神父も不在となり、キリシタンは途絶えてしまったと思われていました。しかし再び日本が開国すると、宣教師は日本にある居留地に住む外国人のために教会の建設を進めました。そんな中、大浦天主堂は最初の公式なカトリック教会として建設されたものです。

　大浦天主堂の建物自体は、ゴシック様式を基調としており、白い外壁と尖塔が特徴です。内部には美しいステンドグラスや彫刻、聖堂の祭壇があり、静かで荘厳な雰囲気が漂います。また、教会の周辺には庭園や墓地が広がっており、歴史的な雰囲気も感じることができます。

　大浦天主堂は、キリスト教の信仰を持つ人々にとって重要な”聖地”であり、今では多くの信者も訪れるのだとか。大浦天主堂がきっかけとなり、周囲には多くの教会やキリスト教関連施設が建ちました。大浦天主堂は特に長崎のキリスト教の歴史と結びついた場所として知られており、その歴史と文化に触れることができる場所のひとつです。

　長崎の歴史的な建造物としても重要な存在であり、１９９６年には国の重要文化財に指定されました。その美しい建築と歴史的な価値にも要注目の教会です。

世界遺産にもなっている大浦天主堂

　「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、キリスト教の信仰を秘密裏に守り続けた潜伏キリシタンの歴史と関連する遺産群です。ご存知のように、日本は長い間キリスト教信仰を禁止していました。信者たちはひっそりと潜伏し、信仰を守り続けてきたのです。

　関連遺産は多くありますが、その中のひとつが大浦天主堂です。

大浦天主堂とキリスト教の深い歴史

　大浦天主堂は、世界遺産のなかでも”「潜伏」が何をきっかけとして終わったのかを示す構成資産”だとされています。

　秘密裏に信仰を続けていた人たちがいたことが、あることをきっかけに発覚します。大浦天主堂は開国後に建設された教会ですが、日本の開国により来日した宣教師が大浦天主堂で祈りを捧げていると、その噂を聞きつけた潜伏キリシタンの人々が大浦天主堂にやってきました。そして宣教師に、信仰を同じくするものです、と打ち明けたのです。これが、２世紀ぶりに大浦天主堂で信徒と宣教師が出会った歴史的な出来事であり、「信徒発見」といわれています。

　そしてその後、宣教師と各地の潜伏キリシタン集落の指導者が接触し、正式にカトリックに復帰する人や改宗する人などさまざまな転機があり、潜伏は終わることとなったそうです。

大浦天主堂を訪れてみる

　現在の大浦天主堂は、長崎の観光名所としても人気があります。周辺には観光施設やレストランもあり、教会を訪れた後に散策や食事をしたり、お土産を購入したりとさまざまな楽しみ方があります。大浦天主堂とグラバー園、周辺をめぐるだけで１日たってしまいそうなほど見どころがたくさんあるので、ぜひゆっくり楽しんでみて下さい。

外観から趣たっぷり！ぜひ写真におさめてみて

　大浦天主堂は建物自体も歴史的建築物。長崎の独特な雰囲気とマッチしている、とっても趣のあるスポットです。ぜひ写真におさめてみましょう。

　残念ながら、中は写真撮影NGとなっています。とても静かで神聖な雰囲気のある場所なので、その空気をじっくりと味わってみて下さい。ステンドグラスも見ものですよ！

資料館も要チェック

　大浦天主堂には資料館も併設。入り口で大浦天主堂のチケットを購入すれば資料館にも入ることができるのでぜひじっくりみてまわって下さい。

　潜伏キリシタンの歴史や大浦天主堂の歴史、実際に宣教師が使っていたアイテムなど当時のことが身近に感じられる展示です。

単なる観光スポットではない魅力がたっぷり

　大浦天主堂についてご紹介してきました。有名な場所ではあるのですが、なかなかひとつの「観光スポット」としてしか認識されていないスポットでもあるので、機会があればその歴史も学びながら訪れてみて下さい。

　世界遺産にもなっている場所なので、その価値はお墨付きです。ぜひ先人の思いを感じながら巡ってみましょう。

※参考：長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産